気泡の混じったガラス細工の底で
わたしは息をひそめている
きらりと光る無数の歯に
引きちぎられぬように

透きとおった重力
歪められる光
すい、と横切るさかなたちは
まるで傷など知らぬがごとく

蒸留された三稜鏡(プリズム)の底で
わたしは肩をすくめている
死角にひそむ無数の目に
決して見つからぬように

いっそこのまま干上がって
静かに朽ちてゆけたなら

肉が溶けて 骨となって
誰も彼も同じ海底に沈む



Sep.7,2014